2016年西野亮廣独演会、落語講演レポート

2016年西野亮廣独演会 落語講演を観てきました

お笑いコンビ「キングコング」の他、脚本家、絵本作家などマルチに活動中の西野亮廣さん。2016年8月12日~19日までの8日間10講演で、「西野亮廣独演会in東京」が開催中です!
今回は、7公演目に当たる「落語」を観てきたのでその内容をご紹介します!

西野亮廣独演会って?

キングコング西野さんがコンビ活動とは別に単独で行うお笑いライブ。wikipediaによると2005年秋からスタート。派手な舞台演出は行わず、スタンドマイク1本で臨むのが定番スタイルです。
2014年、2015年には日比谷公会堂公演を行い、単独公演としては異例のチケット2000枚を完売させました。
2015年の様子はYouTubeに全編公開されています。

独演会の新たな試み

今年、2016年公演は例年とは大きく異なります。
10講演全て内容が異なる」というもの。
7公演まで終了し、連日満員御礼。「行きたくても完売で行けない」お客さんを少しでも減らす為、撮影用の席をバラすも完売の様子。
私は追加席でチケットを確保することができました。

シンプルだからこそ演者の技巧が試される落語

ではそんな西野亮廣独演会の落語。西野さんはこれまで落語経験は無く、今回の独演会で初披露だそうです。

落語が再現芸術でありながら演劇や舞踏と一線を画して考えられるのは、演劇・舞踏といった芸能が通常扮装をともなって演技されるのに対して、落語においては扮装を排し、素のままで芸を見せるためである。

落語/wikipedea

スタンドマイク一本で勝負してきた西野さんの独演会は、落語の本質と重なる部分がありますね。

落語の始まりは御伽衆(おとぎしゅう)

落語の起源を辿ると、「御伽衆」と呼ばれる人たちが始まりだそうです。
御伽衆とは大名のそばに仕え、話の相手をしたり、世情を伝えたりする人です。
西野さんは「おとぎ町」というリアルな町づくりを行っている最中。おとぎ町と御伽衆。何やらここにも共通点が。

西野亮廣流落語

前置きが長くなりましたが、落語公演のレポートを。ネタバレ含みますので、ご注意ください。カメラ席をバラシている事もあり、会場に足を運ぶことが出来なかった方に少しでも様子を感じ取って頂ければ。
※西野さんご本人に掲載許可頂いております。
※私は落語の観賞は2、3回程で全くの初心者です。
2016年西野亮廣独演会 落語講演
ほぼ定刻通りにスタート。深緑?のシンプルな和装で登場。連日の公演で若干やつれているようにも見えますが、いつもと違う新鮮な装い。
歌舞伎や日本舞踊で客席に手ぬぐいやハンカチが撒かれる事がありますが、西野さんは・・・
パインアメ!!
着物の袂からバラ撒かれる大量のパインアメ。もはやパイン雨。

落語はマクラ、本題、落ちから成る

落語は「マクラ、本題、落ち」の順に展開されます。
西野さんはどんな落語を魅せてくれるのだろうと楽しみにしていました。有名な演目を西野流にアレンジするのかな?と思っていました。

マクラはエピソードトーク

本題に入る前に、通常の独演会で披露されるようなエピソードトークが幾つか。
まず、ファンへの激怒から。まさにアメと鞭。
若干増えたファンレター(でも1桁)と出待ちの人数について触れていましたよ。
そして
「NON STYLE のファンはこんなんや無かったぞ!!!」
その後、2つのエピソードトークは本題へ繋がる大きな意味を持ちます。
ストーカーおじさんの話と交通違反おじさんの話があり、
「犯罪を犯す人も何か理由があるんだなぁと思います」
※もちろん犯罪を助長する意味で言ったのではありません。

空気が一変。本題へ

マクラで会場が和んだ後、空気が一変します。一瞬何が起こったのか分かりませんでした。まだ笑いの余韻を残す中、西野さんは斜め上を悲痛の表情で見つめ、何かを握り締めています。
続いて、手首に沿えたのは・・・刃物。先に握り締めていたのはロープ、手首にナイフ。
1人の男が命を絶とうとしていました。なるべく苦しまないで絶つにはどうしたら良いか・・・そんな葛藤から本題が始まります。

グッド・コマーシャル落語Ver.

はい。2010年に発売された西野さんの小説「グッド・コマーシャル」の落語が本題だったのでした!
(アレンジが加えられていたので、グッド・コマーシャルをベースにしたオリジナルストーリーと言った方が正確かもしれません。)

落語は制限を無限に活かし、情景を見せる

2016年西野亮廣独演会 落語講演
落語は、立ち上がる事はありません。膝立ち位はありますが、基本的には座ったままストーリーの全てを伝えます。
座布団一枚分の面積で。上半身、表情、声、そして扇子や手ぬぐいといった少しの道具。西野さんは窓を開けるときに小拍子をカンッと見台に打ち鳴らし、場面転換を行っていました。

登場人物が1人、2人・・・3人と増えます。全て一人で演じます。自殺志願者の虚ろな表情、覇気のない喋り方。立てこもり犯の威嚇。
そして命、犯罪という重い事柄の中にもユーモアがあり、会場には笑いが起きていました。

余分な奴など1人もいない

立てこもり犯の芥川は、ゴーストライターとして世に出した自身の小説に「余分な人など1人もいない」というメッセージを込めた事を明かします。落語中、このセリフの言い回しがとても力強く胸に刺さりました。
そして「自分で自分を諦めたらダメだ」。

光を取り戻す自殺志願者そしてハッピーエンドへ

落語は装飾性が排除されたぶん、演者の表情に注目します。上記の「余分な人~」もそうですが、もう一つ印象に残ったシーンがあります。
それは自殺志願者が夢を語るシーン。虚ろな目がみるみる光を取り戻します。好きな事を語る時って、みんな光を取り戻すんだと改めて気づくことができました。
終盤、早口で捲し立てる長セリフには圧巻でした。片膝を立て臨場感を出し、一気にクライマッスクヘと繋ぎます。おおおー!と会場からは拍手喝采。
そしてラストは勿論ハッピーエンド。西野さんの創るストーリーは必ずハッピーエンドで幕を閉じます。

エンドロールにも魔法が

落語が終わり、西野さんがステージを去るとすぐエンドロールが上映されました。エンドロールはお客さんへのエールでしょうか。ネガティブな過去を変える方法を教えてくれました。そして「大丈夫」と私たちの背中を押してくれます。エンドロール中に涙されている方も多くいました。
西野さんが身をもって証明している事だからこそ、メッセージが深く染みるのだと思います。
ちなみにエンドロールのメッセージは西野さんの最新刊「魔法のコンパス 道なき道の歩き方」でも読むことができますよ!(宣伝)

落語が一番怖かった

エンドロール後、再び登場し、エンドトーク。安堵と達成感に満ちた表情が印象的でした。そして「(10公演中)これ(落語)が一番怖かったー!」と。
私は落語に詳しくないので、技術的な事は分かりませんが、ステージからの気迫は凄まじく、たった一人で客席を飲み込むエネルギーがありました。

コレなんか知らんけど

そして窓を開けるときに打ち鳴らしていた小拍子。あれ、実は今日初めて使ったらしいです。正しい使い方も知らないとか。ええー!?
何か知らんけど置いてあったから使った」だそうです。
とても驚いたので終演後、練習では使ってなかったのか聞いてみました。
やはり、
「うん。何か今日置いてあったから使った。」だそうです。
本来は扇子を使おうと思っていたとの事。その場でサッと扇子を出し、カンッと打ち鳴らして見せてくれました。おお、これはこれで見たい。
その場にあるものを上手く使い、魅せる。まさに芸人さんですね。

最後に

如何だったでしょうか。会場の雰囲気が少しでも伝われば幸いです。
落語は敷居が高いと思っている方、「らくごカフェ」なんてユニークなカフェがあるのご存知ですか?気負わずに落語の世界を楽しめるかもしれませんよ。

また、少し古いですが、歌舞伎座で歌舞伎を観賞した記事もありますので良ければ。

西野さん、残りの公演も応援しております!

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