昭和の少女雑誌を支えた8人のイラストレーター


昭和の少女雑誌を支えた8人のイラストレーター


創刊70周年記念それいゆ70企画

昭和レトロを探る上で、漫画・雑誌は切っても切れない存在。
人気キャラクターがファッションに影響を与えたり、関連グッズがヒットしたり・・・
実は「漫画」という言葉が一般に定着したのも昭和に入ってからなんです。
戦時中は出版規制の為、ふろくはありませんが、戦前・戦後から現在に至るまで「ふろく」は子供たちの楽しみの一つ。
今回は1960年代までの少女向け雑誌、特にふろく文化を支えた8名をご紹介します!

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イラストレーターがふろく文化の基盤を作った

少女雑誌のふろくと言えば、漫画家のイメージがあったのですが、元々はイラストレーターが中心を担っていたようです。挿絵画家として活動していた人も、次第にグッズ制作など活動を広げている方が多くいます。

少女雑誌初のふろくは「すごろく」

少女雑誌初のふろくは1906年(明治39年)のすごろくです。新年の特別号にふろくとしてすごろくが付いたのが最初です。現在のように毎号付くのではなく、新年の特別アイテムでした。
その後、ふろくにバリエーションが増え、発展したのは大正・昭和初期。
更に戦後の傾向としては、少年雑誌はふろくが減少傾向となりましたが、少女雑誌については現在でも多くの雑誌に付いています。

ふろくに革命を起こした中原淳一

昭和に入り、ふろく文化が発展する上で必要不可欠だったのが中原淳一さん。
今見ても色褪せない、技術とオリジナリティーで人気を博しました。小説をまとめた雑誌、「少女の友」の表紙や挿絵を担当する中で、ふろくのイラストも手掛けました。
中原さんのふろくは西洋色が強く、これまでのふろくとは大きく異なりました。
また、作りの面でも細部まで工夫が凝らしてあり、それまでのすごろくや百人一首とは雰囲気が異なります。
中原さんの絵は、ふろくだけではなく、ファッション、美容、などあらゆる面で女性の生活を彩っています。後に紹介するイラストレーターさんの多くが中原さんの影響を受けています。
終戦から一年後の1946年8月15日、独自の女性誌「それいゆ」を発刊。
2016年は70周年にあたり、特設サイト公開中。

創刊70周年記念それいゆ70企画
また、兵庫県姫路市では特別展「それいゆ創刊70周年記念 中原淳一展 ―美しく装うことの大切さ―」が開催中です!

特別展「それいゆ創刊70周年記念 中原淳一展 ―美しく装うことの大切さ―」

少女漫画の先駆け松本かづち

松本かづちさんは抒情画家として1904年(明治37年)にデビューしました。松本さんも中原淳一さんと同じく「少女の友」で小説の挿絵を描いていました。

松本かづち
松本さんの活動領域は広く、絵本や漫画も描いていました。日本最初のマルチクリエイターと言われています。
ストーリ性のある長編漫画は手塚治虫さんが元祖と言われていますが、実は松本さんが先に少女漫画を描いていました。日本初の長編少女漫画「くるくるクルミちゃん」を少女の友で発表し、爆発的な人気となりました。

キャラクターファンが出来る事で、関連商品も数多く発売されました。つまり少女キャラクターグッズの元祖はくるみちゃんなのです。

また、兵庫県宝塚市の手塚治虫記念館で「マルチクリエイター 松本かつぢの世界展 」が開催中です!

マルチクリエイター 松本かつぢの世界展

写実的な少女イラストの第一人者!勝山ひろし

これまで紹介した方々とは、画風が異なり、写実的な少女イラストを手掛けたのが勝山ひろしさん。名前は知らなくとも「あぁ、この絵!」とピンときた方は多いはず。
勝山さんは、絵物語のジャンルで絶大な人気を誇る挿絵画家でした。

絵物語(えものがたり)とは挿絵の比率が非常に高い小説。あるいは紙芝居を本に移植したもの、もしくは絵本の文章量が増えたもの、漫画の絵と文が分離したものとも言える。これらとのジャンルの境界は極めて曖昧で、同じ作品が連載中に絵物語から漫画へ、あるいはその逆の形式になることも少なくない。

絵物語 | wikipedia

勝山作品を含む、この時代の少女雑誌を紹介しているブログがありました。
コレクターの方のようで、勝山さんの生み出した作品を観たい方は是非。

勝山ひろし
頭身や髪の質感など、リアルに近いタッチが特徴的。しかし、目元はぱっちりしてまつ毛が長く、「憧れの女の子」が描かれています。勝山さんの絵は冊子ふろくの表紙を多く飾っていました。

KAWAII文化の原点。内藤ルネ

内藤ルネオフィシャルサイト
顔だけ見ると、目元が中原淳一さんの描く女性と共通点を感じます。
内藤ルネさんは「ジュニアそれいゆ」という少女向け雑誌でデビューしました。ジュニアそれいゆは中原淳一さんが発刊した雑誌です。
ルネさんは中原さんよりポップでお人形のような少女を描くのが特徴。人間離れした頭身で、デフォルメされているのが分かります。キャラクターのファッションは海外の映画や雑誌に影響を受けています。
明るく元気な女の子を描いた最初のアーティスト
※画像引用元:内藤ルネオフィシャルサイト
ルネさんのビビットな色合いは、当時出版社が採用し出したビニールや光沢のある素材との相性も抜群だったと言われています。
ルネさんのふろくは細部までKAWAIIを追求してあり、雑誌の目玉として扱われました。ふろく予告ページには「内藤ルネ先生の~」と大きく表記される事も多々ありました。

ルネさんは身の回りのあらゆるものを可愛くデザインし、商品化しています。昭和のファンシー雑貨の先駆者です。いちごやレモン、パンダなど可愛らしいグッズの発祥はルネさんだったんですね。
当ブログでも昭和レトロなレモンの描き方を紹介しています。

レモンのパターン

「りぼん」「なかよし」の人気イラストレーター!田村セツコ

田村セツコオフィシャルブログ
田村セツコさんは松本かづちさんに弟子入りし、イラストの世界へ入りました。
内藤ルネさんがKAWAIIなら、田村セツコさんはキュートが似合う。
1950年代後半から田村セツコさんのイラストがふろくに多数起用されるようになりました。
田村さんのイラストは色鉛筆で塗ったような淡く柔らかな雰囲気が印象的。60年代には「りぼん」や「なかよし」等の少女漫画雑誌のオシャレページを担当。りぼんのふろく「おしゃれブック」は女の子のバイブルでした。

69年から多数オリジナルグッズを販売し、「セツコグッズ」と呼ばれるほどの人気となりました。サンリオ発刊の「いちご新聞」に1975~現在も継続的にエッセイを掲載しています。
サンリオいちご新聞
一冊丸々、田村セツコさんの魅力が詰まった本「田村セツコ HAPPYをつむぐイラストレーター」もおススメです!かづちさんに弟子入りする前のイラストも掲載されています。
また、かづちさんとの心温まるエピソードも綴られており、クリエイターさんにはぜひ読んでほしい1冊。

りかちゃん人形生みの親!牧美也子

初代リカちゃん人形のモデルは牧さんの描いた少女がモデルとなっています。牧さんの漫画「マキの口笛」に登場するキャラクター「梨花」がリカちゃんの由来とも言われています。
牧さんの美しい絵は「りぼん」や「なかよし」で、カレンダーや別冊漫画のふろくになりました。
牧さんは漫画家松本零士さんの妻で、2016年5月にはコラボ展も開催されました。(現在イベントは終了)

松本零士×牧美也子

あどタン・あどちゃんの愛称で大人気!水森亜土

水森亜土さんはイラスト以外にも舞台女優や歌手などマルチに活躍している方です。

水森亜土
水森亜土さんのデビューは少し変わっています。雑誌の挿絵ではなく、「うたのおねぇさん」デビューでした。透明のアクリルボードに歌いながら絵を描くのです。両手にペンを持って同時に描くというパフォーマンスをし、テレビの人気者となりました。
軽やかで楽しそうな歌声は、アニメ「Dr.スタンプアラレちゃん」の主題歌にも起用されました。
現在、ジャズシンガーとしても活動中です。亜土さんのオフィシャルにライブ日程も掲載されていますよ!
少女雑誌については、森亜土さんも「りぼん」や「なかよし」のふろくを数多く担当。
手描きならではの柔らかな線とふわふわした女の子が魅力的です。また可愛いだけではなく、セクシーさを兼ね備えた女の子も印象的。
人気イラストレータの作品を貰えるふろくは、子供たちの楽しみの1つでした。便箋やシール、クリスマスカードなどがありました。

亜土さんの魅力満載の本も出版されています。アトリエの写真や、数々のイラストの掲載。また、制作の裏側インタビューなど当時を振り返るページもあります。イラストが好きな方も、作り手側としての興味がある方にもお勧めです。

女の子の永遠の憧れ!高橋真琴

高橋真琴
昭和の女の子なら、文房具屋さんで一度は目にした事があるはず。キラキラと美しい瞳に溢れんばかりの美しい花。繊細なタッチで、女の子憧れのお姫様像を描いたのが高橋真琴さんです。
実は高橋さん、男性なんですよ。どうしてこんなに可憐な女の子が描けるのだろうと不思議になるくらい、素敵な絵ですね。
高橋さんも「りぼん」や「なかよし」などの少女雑誌の挿絵やふろくイラストを担当しました。
元々は漫画家デビューでしたが、次第にイラストレーターとしての仕事が多くなりました。
また、これだけ繊細な絵を描くので、当然制作時間もかかります。
そういった理由で、高橋さんのふろくは他の人気イラストレーターさんに比べ数が少ないそうです。

最後に

どの方も、色褪せる事なく魅力が溢れていますね。名前は知らなくても一度は目にした事のあるイラストが多々あったのではないでしょうか。まだまだ素晴らしい作家さんは沢山いるのですが、今回は特に時代を代表する8名に厳選させて頂きました。
現在でも根強いファンは多く、TwitterやInstagramなどで自慢のグッズを投稿されている方が沢山います。
昭和のファンシー雑貨に興味がある人は、内藤ルネさん、田村セツコさん、水森亜土さんあたりを掘り下げてみて下さい。デザイン制作にも必ず役に立つと思います。

現代の素敵なイラストレーターさんがいっぱい!

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参考文献

昭和の少女文化、昭和レトロ、少女雑誌のふろく文化などに興味がある人におススメです。
今回の記事を書くのに勉強になりました。デザインの勉強をしたい人はパラパラ見るだけでも参考になると思います。


亜土さんが手がけた、グッズ、ポスターなどのイラストは勿論、テキスト要素も多い本です。料理、ジャズ、イラスト、あらゆる切り口で亜土さんを語っています。イラストだけではなく、制作の裏や水森亜土さん自身に興味の有る方向け。

こちらも、イラストだけでは無く、テキストページがあります。大きな師を持ったが故の苦悩や挫折、ブレイクのきっかけなど。

今回一番参考にさせて頂きました!各作家さんの情報が分かり易くまとめられており、写真も多数ありました。ふろく文化の流れを知りたい方は必読。今回紹介できなかった方も沢山紹介されています。

こちらはリボンに特化しています。今回の記事は~60年代中心でしたが、それ以降の人気漫画家さんによるふろくも多数紹介されています。

今年出版されたばかりの新しい本。こちらは漫画史を55の切り口で解説しています。
漫画はいつ「漫画」になったのだろう・・・?と原点を探るのに読ませて頂きました。
今回の記事では扱っていない、「ときわ荘」「コミケ」等、漫画史を語る上で欠かせないキーワードばかり。日本の漫画史全体の流れを知りたい人におススメ。



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