伝統文様中心の2017年6月ブックレビュー


伝統文様中心の2017年6月ブックレビュー


最近読んだ本

定期開催中の和風デザイン勉強会、7月のテーマが「和柄」。
そこで改めて文様関係の本を読み返したので紹介します。


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もっと知りたい!日本伝統文様のあれこれ

文様の事典


1989年発行の古い本ですが、マイナー文からメジャー文まで網羅してあります。
著者の岡登さんは関東大震災や、東京大空襲で二度も文様関連資料を焼失してしまったそうです。
それでも文様に対する情熱を失うことなく、人生の集大成としてまとめられた一冊。
「辞典」と呼ぶに相応しいボリュームです。琉球文様やアイヌ文様、一部の外国の文様も掲載されています。ただし、通常の国語辞典と同様に挿絵が少ないので、別途補完資料は必要。
この本を通じて初めて知った文様が沢山あり、私はまさに辞書として活用させて頂く所存。

日本・中国の文様事典 (みみずくアートシリーズ)


前半が日本、後半が中国の文様についてまとめられています。
写真、挿絵が多く、紹介されている文様もメジャーなので、入門書に最適。
歴史・文化的背景も知りたい人にはお勧めです。歴史はいいから文様と意味だけ知りたい人には不向き。
以前、縄文時代の文様についてまとめる為に、何冊も本を読んだのに、この「日本・中国の文様事典 (みみずくアートシリーズ)」に分かり易く時代ごとの遷移が書かれてありました・・・。
でも自分で調べた事と、こちらに書かれている事に大きな相違は無かったので知識の再確認になって良かったと言えば良かったのですが。

文様の博物誌


先入観で日本の文様だと思っていたのですが、世界の文様についての本でした。
もちろん日本についても触れているので、日本と世界の違いなど興味がある人には面白いかと。
私は海外の文様についてはノーマーク(というかそこまで広げる余裕がない)なのですが、思わぬ情報が入って面白かったです。
イスラム世界では生物の表現が規制されており、故に幾何学文様が発展した。とか。ギリシャ神話の神々の衣服に文様が無いのは~とか。
文章が読みやすくて引き込まれます。
最初の1ページ読んだ時点で、先生のファンになりました。既に他界されているのが残念でなりません。

縞模様の歴史―悪魔の布 (白水uブックス)


こちらも世界の文様。その中でも縞模様についての考察です。日本では江戸時代に縞文が流行り、バリエーションも様々生まれました。日本では「悪」のイメージはないので、興味を持って読んだ一冊。
ヨーロッパでは大昔、縞は悪とか身分の低い者の象徴だったけど現代はそうでもないよって事が書かれています。囚人の縞々服には理由があったんだ!と妙に納得。
二色の異なる色の布でできた服がNGだったようで、その結果、市松も印象悪かったと。そんなー!
文様の博物誌」でも感じましたが、ヨーロッパは文様と宗教が密接に関りがあるんだなぁと感じました。

売れる商品は感性工学がある。


「感性」という曖昧で難しい領域に踏み込んだ一冊。著者の椎塚先生は日本の感性工学の第一人者です。「和風」もあいまいで難しい領域なので、和風を紐解くヒントがありそうだと思って読みました。「白銀比・黄金比」といったデザイン的な事や「わくわく」を演出するといった「企画と感性」についての関係など取り上げられています。グリコのおまけの話とか。
また、5月のブックレビューの記事で紹介した「デザインの種: いろは47篇からなる対話 」にも書かれていたのですが、”人は先の見えない曲がり角にワクワクする”と言ったことがこの本にも書かれていました。散歩で出会った偶然の曲がり角、その瞬間のワクワク。感性を刺激するのに散歩は良さそうですね。脳科学的にも良いと言われています。さらっと読めて分かり易い一冊でした。

よみがえる天平文様


正倉院宝物に描かれた文様をイラレで書き起こした文様集。中国影響を色濃く受けた装飾が多いです。この本は文様だけを抜き出しているので、宝物の写真や歴史文化背景は掲載されていません。イラレで天平文様を描きたいと思っている人には参考になるかも。本屋さんでも良く見かけます。

吉祥の図案―宝づくしと龍・獅子・鳳凰のデザイン (近代図案コレクション)

美しいです。定期的に眺めてしまう一冊。ページ数は85ページでさほど多くないですが、吉祥図案のサンプル集
代わりになります。宝づくしと龍・獅子・鳳凰中心の図案で組み合わせ方の参考になります。縄を使った図案はイラレで描くとどうなるかなー?とついつい考えてしまいます。

まとめ

最初に挙げた3冊「文様の事典」「日本・中国の文様事典 (みみずくアートシリーズ)」「文様の博物誌」は文様の歴史・文化背景が知りたい人にはお勧めです。文様というマイナージャンルだと、著者の熱量が伝わってきて感化されます。岡登さんは教員をしながら文様収集をしていたそうで、人生の集大成ともいえる一冊。自分もこんな風に何か遺せたら・・・思ったのでした。
また、世界の文様との関係もなかなか面白いです。日本は、宗教による制約の少ない国ですが、宗教が文様の発展に大きく関連している国もあるのだなぁと知りました。世界の文様に詳しい人がいたら話を聞いてみたいです。

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