赤色の歴史・染料・価値観について – 日本の伝統色を探る –


赤色の歴史・染料・価値観について – 日本の伝統色を探る –


赤の歴史

最も古い日本の基本色は「あか、あを、しろ、くろ」です。中でも壁画や土器などから赤の痕跡が強く残っています。中国の書物魏志倭人伝(ぎしわじんでん)によると卑弥呼は絳青稴(こうせいけん)と呼ばれる織物を献上したとあります。絳(こう)が赤の事で、稴とは織物を指している言葉です。
和風のWEBサイトには、赤、白、黒、金が多く見られます。この記事では赤の歴史を掘り下げて、日本の伝統色や日本人の色彩感覚にどのような影響を与えたのか探ってみようと思います。

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それぞれの時代にみる赤

魏志倭人伝にはこの他にも「倭人は体に朱丹を塗っていた」とあります。顔や体に顔料を塗って呪いやお祈りに用いる民族がいますが、この頃の日本人は朱色の彩色していたようです。
また、文字による記録は残されていませんが、縄文時代には既に土器や土偶に朱を塗っていた事が分っています。

魔除け厄除けに使われた赤

「赤」と言っても様々。
魏志倭人伝の絳は茜で染めた色の事で、ややくすんだ赤色です。体に塗っていた朱については、赤色顔料で、硫黄化水銀。丹は赤色の土の事を指します。

  • 絳・・・植物の茜で染めた色。茜の根の部分を染料として使っていた。染色に手間がかかり、色が濁りやすい。茜染は染める回数に寄って異なる色名がつけられた。最も濃い赤の色名が茜
  • 朱・・・硫黄化水銀。

壁画に使われた赤

古墳時代には壁画に赤が使われました。柩に朱の粉を大量に敷き詰めていた古墳も発見されています。茨城県ひたちなか市の虎塚古墳では、凝灰岩のうえに白色粘土で下塗りをし、酸化鉄を用いた赤色顔料で模様が描かれています。
この壁画には大きな蛇の目が描かれており、呪術的な意味合いが込められていたとする見方が強いそうです。先史から古墳時代の人々は、呪術など特別な意味を込めて赤を使用していたようですね。
先史、古墳時代の赤

憧れの赤-紅花染-

赤の染料はこれまでは茜や朱がメインでしたが、五世紀頃「紅花」が加わり、より鮮やかな赤を表現できるようになりました。しかし濃い紅色を出す為には何度も重ね染めしなければならず、大変手間がかかり、かつ高価な物でした。そのため平安時代まで濃い紅染めは禁色と呼ばれ使用禁止されていたそうです。桜色や紅梅など紅染によって作られた美しい色は殿上人の装束に使用され、華麗に彩りました。紅染は茜染と同様に染められた諧調によって異なる色名がつけられています。

紅花染めによって作られた赤
紅花染によって染められた様々な「赤」。大変貴重で人々の憧れの色でした。
更に時は流れ鎌倉時代になると男性的なはっきりした色が好まれるようになりました。赤の染料に蘇芳(すおう)や禁色の紅も広く使用されるようになりました。

強さを誇示する赤

鎌倉時代には武具の革などに褐色(かちいろ)と呼ばれる黒に近い藍が愛用されていたようですが、禁色とされていた濃い紅染めの赤も色糸威し(いろいとおどし)に使用されるようになりました。青や紫が使用されている鎧もあり、改めてみると色とりどりで軍装とは思えぬ美しさがあります。縅のデザインも様々で、とても鮮やかです。これらのはっきりした色調は戦場で敵を見分けるための目印にもなりました。

同じく戦の世である戦国、安土桃山時代にも赤を愛する武将が多かったようです。この時代の代表色は他にも金、群青等があり、戦の中で強さと権力をアピールする色が好まれました。中でも闘争心を思わせる赤は好まれ、武将の中には鎧から馬具、鐙など全て赤で統一した軍勢もいました。
この時代に「猩猩緋(しょうじょうひ)」と呼ばれる真っ赤な毛織物が渡来した事により、これまでに無い鮮やかな赤を得る事ができました。猩猩緋はコチニール染またはケルメス染と言われていますが、どちらだったのかは不明。戦国大名はこぞって猩猩緋を陣羽織などに使用しました。小早川秀秋の陣羽織が2本の大きな鎌に鮮やかな猩猩緋というド派手なデザインなので興味のある方はご覧になってみてください。この方については詳しくないですが、どうやら秀吉の養子だった人らしいです。 文化遺産オンライン 猩々緋羅紗地違い鎌模様陣羽織 
ちなみに染料のコチニールが輸入されるようになったのは江戸時代末期だそうです。

戦国大名に愛された猩猩緋の赤
右の兜はflickrよりお借りしました。Original Update by tiseb 

赤×白の配色の原点

また、現代の和風WEBサイトにもよく使用されている「赤×白」の原点とも言える出来事が鎌倉時代に起こりました。それが源平合戦です。
「いやいや日の丸の国旗が赤×白だからなのでは?」はい、諸説あるようですが、日の丸の「赤×白」も源平合戦が影響していると言われています。

「なにかを競うのに、紅白戦の形をとるのは世界でもほとんど例が無く、日本独自のものらしい。」
書籍「歴史に見る日本の色(中江克己著)」より

源平合戦では源氏が白、平家が赤旗を掲げて戦いました。扇の色は源氏が白地に赤丸、平家が赤字に金丸です。

源平合戦にみる赤×白
源平合戦では源氏が白、平家が赤旗を掲げていました。

まとめ-各時代に学ぶ和の配色-

各時代を振り返ってみると、赤は時代ごとに重要な役割を果たしている事がわかります。まとめとして赤の配色例をご紹介したいと思います。WEB制作の参考になれば幸いです。紅染か茜染で作られる色を使うのが和っぽくなるポイントかなと思います。

各時代に見られる赤の配色例
各時代に見られる赤の配色例です。閲覧環境によって色が異なって見えるかもしれません。ご参考までに。

また、日本を連想させるモチーフにも赤は大変よく見かけます。漆塗り、金魚、鯉、歌舞伎のメイク、舞妓さんのメイク等・・・。これらを組み合わせて使用するとぐっと「和」の雰囲気が出るのではないでしょうか。

参考文献

和サイトを作る上では「すぐわかる日本の伝統色」と「日本の伝統色 配色とかさねの事典」の2冊あると便利だと思います。



3 Comments on 赤色の歴史・染料・価値観について – 日本の伝統色を探る –

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