下請法をご存知でしょうか?
当ブログをご覧の方の中にも、親事業者、または下請事業者として業務を行っている人がいると思います。
どちらの立場においても、円滑に業務を行う上で知っておかなくてはならない事ですのでシェアします。
知ってる人は復習に、知らない人は今後の為に役立てたら幸いです。
知らないうちに違反もあり得る!?下請法とは
下請法とは・・・
親事業者と下請事業者は,長期間にわたり継続的に取引していることが多く,(~中略~)下請事業者にとって不利な取引条件を押し付けるといた行為が行われることがあります。
このような親事業者の行為について,親事業者と下請事業者との下請取引を公正化し,下請事業者の利益を保護するために,昭和31年,独占禁法の補完法として,下請法(正式な名称は「下請代金支払遅延等防止法」といいます。)が制定されました。
下請法は,対象となる下請取引の範囲及び親事業者の守るべき行為並びに禁止行為を明確にし,公正取引委員会等に親事業者及び下請事業者に対する調査権限を付与するとともに,下請法を遵守しない親事業者に対しては,法律を遵守させることを内容とする行政措置を取り得るようにすることにより,問題を迅速かつ効果的に処理することができる内容になっています。
また,下請法は,「下請事業者の利益を保護する」という目的から,中小企業関係法としての性格を併せもっており,中小企業施策の重要な柱の1つとして位置付けられています。
簡単にまとめると・・・
- 親事業者が下請事業者に不利益な取引条件を押し付けないようにする為の決まりごと(利益の公正化、下請事業者の利益の保護)
- 独占禁止法の補完法
- 正式名称は下請代金支払遅延等防止法
違反するとどうなるか
ではなぜ下請法を知る必要があるのでしょうか。
それは両者の合意があっても認められない行為(強行法規)が存在しており、知らぬ間に違反なんて事もあり得るからです。
違反すると公表される
違反すると、企業名や違反概要、勧告概要が公表されます。知らなかったではすまされませんね・・・
刑事罰の可能性も
上位法の「独占禁止法」で裁判により刑事罰を受ける可能性もあります。
親事業者が責任を負う
責任を負うのは親事業者です。「両者の合意があっても」下請事業者が責任を負うことは許されません。強行法規とはこの事ですね。
公正取引委員会・中小企業庁の立ち入り検査や調査の要請に対応しなくてはならない。
公正取引委員会や中小企業庁では、毎年親事業者・下請事業者に書面調査を実施しています。必要に応じて取引記録の調査や立入検査も行っています。
警告・指摘事項には代表者名で改善報告書の提出や社内教育が指示されます。
このような検査を拒んだり妨害した場合にも罰金に処せられます。
下請法の対象となる事業者
では下請法の対象の範囲を見てみましょう。下請法は「取引の内容」と「資本金」の2つの側面から適用範囲を定めています。
1.取引の内容での適用
業務の内容により下記4つの取引が法律で指定されています。
- 製造委託
- 修理委託
- 情報成果物作成委託
- 役務提供委託
- 参考
- ポイント解説下請法
WEB制作に関わる人は「情報成果物作成委託」に含まれます。
2.資本金での適用
資本金区分による関係図は以下の通り。
資本金区分により、親事業者が優越的地位にある事を明確にしているのですね。
資本金1千万円超3億円以下の事業者は親事業者にも下請事業者にもなり得ます。
資本金1千万円超以上5千万円以下の事業者は親事業者にも下請事業者にもなり得ます。
資本区分の要件を満たしていれば、孫請けの立場でも適用の範囲になります。
情報成果物作成委託とは
さて情報成果物作成委託は、WEB制作者にも関係がある部分です。
「情報成果物作成委託とは」、事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う
作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及
び事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成
の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること」をいいます
「情報成果物」とは以下のように定義されています。
- プログラム
- 映画 放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成されるもの
- 文字,図形,記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの
- 1~3に類するもので政令で定めるもの
ゲームソフト、映像コンテンツ、カタログ、チラシ、商品デザインなどの各種デザイン、製品の取り扱い説明書などがこれらの中に含まれます。
ここで挙げた以外にも品の付属品・内蔵部品,物品の設計・デザインに係わる作成物全般を含んでいます。
情報成果物作成委託3タイプ
ここで情報成果物作成委託の3つのタイプを詳しく見ていきます。
情報成果物作成委託その1
情報成果物を業として提供している事業者が,その情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託する場合。
例)ソフトウェアの販売を行っている会社が、そのソフトウェアの開発を委託する場合。
情報成果物作成委託その2
情報成果物の作成を業として請け負っている事業者が,その情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託する場合。
例)広告会社が受注した制作業務を制作会社に委託する場合
情報成果物作成委託その3
自社で使用する情報成果物の作成を業として行っている場合に,その作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託する場合
例)自社HPの作成を他の事業者に委託する場合。
次回は義務と禁止事項
ここまでが下請法の概要となります。
次回は、具体的に親事業者における義務と禁止事項をまとめます。
- 後編書きました!知らなきゃヤバい!?下請法-後編~親事業者の義務と禁止事項~
コメントを残す