漆黒だけじゃない!戦国時代を彩った赤い武装を色彩学的に分析してみた

【鎧兜甲冑等身大】武田信玄 赤糸威 二枚胴具足

赤色は古くから日本文化と馴染みがあり、和風デザインにも良く使われています。
今回は戦国時代に全身の武具を赤く統一していた「赤備え(あかぞなえ)」について触れてみたいと思います。

戦地で目立っていいの!?全身赤で統一した戦国時代の赤備え

武田信玄の赤

甲冑の色と言えば、黒が広く認知されていますが、青や赤で統一した部隊もいました。
全身を赤で統一する「赤備え」で有名なのは武田信玄。「武田の赤備え」と呼ばれ、名を馳せました。
甲冑工房武寿さんのサイトで、武田信玄の鎧兜甲冑を再現した商品があったのでご紹介します。甲冑のイメージ補完にどうぞ。

【鎧兜甲冑等身大】武田信玄 赤糸威 二枚胴具足
ヤクという動物の毛を使った白髪の兜、鮮やかな赤い糸威し(いとおどし)に金箔・・・。豪華絢爛で強さを誇示した見事な武装です。この武田信玄が率いた精鋭部隊も赤で統一していたとされています。

真田幸村の赤

ドラマ「真田丸」で人気を博した真田も赤備えをしています。大阪夏の陣で真田は赤備え率いたとされています。
真田は武田家の元家臣という関係性があります。
そして甲冑工房武寿さんのサイトに、真田幸村の鎧兜甲冑等身大もありましたのでご紹介します。

【鎧兜甲冑等身大】 新作 真田幸村
武田信玄の「赤・金・白」の配色に対して、真田は「赤・青・黄」。赤と青という大胆な組み合わせですね。
あくまで色彩学的な視点ですが、武田信玄の武装は高級感、豪華、重さを感じるのに対し、真田幸村(信繁)はもっと「戦」を意識した配色だなという印象。(個人の感想です)
鮮やかな赤に青を合わせるのはギラついた印象があります。
真田の甲冑に青を使った真意は分かりませんが、褐色は「勝ち色」とされ甲冑によく取り入れられていたようです。
武田の赤備えは非常に強かった事から、赤は強さの象徴となったと言われています。
そんな「強さの赤」に「勝ち色」を組み合わせたのが真田幸村の甲冑。

井伊直政の赤

他にも井伊直政も赤備えとして有名です。元々武田家に仕えていた兵を、従えて赤備えにしました。この井伊の部隊も大変強かった事から「井伊の赤鬼」と呼ばれました。
そして、この井伊直政の甲冑も甲冑工房武寿さんのサイトにあったのでご紹介します。

【鎧兜甲冑等身大】井伊直政 当世具足写し

色彩学的視点から見た赤い武装の効果

黒い甲冑が多い中、赤が混ざるとそれだけで目立ちます。そんな赤い甲冑について色彩学的に掘り下げてみたいと思います。

進出効果が最も高い

以前「視認性、誘目性・・・赤いバナーの効果について色彩学の視点でまとめてみました 」の記事でも紹介しましたが、赤は進出色と言って青系に比べると前に出て見えます。
前進する色は仲間の士気を高める上でも役に立ちますし、敵を威嚇する事にも繋がります。

敵との区別がし易い

甲冑のデザインもそれぞれ違いますが、色が違えば一目瞭然。身を潜めて戦うスタイルなら赤は逆効果ですが、戦国時代は好都合。敵にも見つかりやすくなってしまう・・・?そこは逃げも隠れもしないのが武士道ですから。
実際赤備えをしていたのは武田を始め、実力派の部隊が多かったとされています。
自動車の色別の交通事故率を比較すると、赤は事故率が低いとうデータが残っています。(参考文献:色のしくみ)
これは赤の目立ちやすさを強調する良い例かと。

赤は興奮、情熱の色

赤は興奮、情熱など活動的なイメージがあります。命を懸ける戦場で、気持ちを高めるために赤はマッチしていると言えます。

膨張色の赤

赤などの暖色は膨張色と言って、実際よりも大きく見せる効果があります。
逆に黒は洗練して見える反面、収縮色と言って小さく見える傾向があります。現代のファッションでも黒は着痩せ効果があると言われていますよね。囲碁で黒い碁石が白よりも大きく作られているのは黒が収縮色だからです。

血が目立たない

赤を身に着けていると血が目立ちません。従ってどのくらい負傷しているかが敵にバレ辛いと言えます。

最後に

赤い武装は、コスト的にも最高級だったようで、強さと富を誇示する事に繋がりました。
自分の手柄をアピールする為にも目立つ赤は効果的だったとされています。危険にさらされながらも、赤に身を包む事には大きな意味があったのですね!赤は当時の戦闘スタイルだからこそマッチしたわけなので、武具の歴史的にも貴重な事例なのでは?と思いました。

赤に関する記事まだまだあり〼。

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