「吉岡幸雄の仕事~海を渡る日本の色~」展を見てきました

「吉岡幸雄の仕事~海を渡る日本の色~」展を見てきました

2016年11月16日(水)~21日(月)まで、日本橋高島屋にて開催中の「吉岡幸雄の仕事~海を渡る日本の色~」を見てきました!
京都の染屋「染司よしおか」の五代目当主、吉岡幸雄さんによる作品解説も聞いてきましたよー!

古くて新しい。日本の伝統色の第一人者

私は幾つか日本の伝統色に関する記事を投稿しているのですが、伝統色を勉強していると、必ず吉岡さんの書籍に遭遇します。
吉岡さんは先人が遺した記録を頼りに、植物から日本の伝統色を再現させている方です。化学染料が主流の時代に、日本古来の方法に拘って染色されています。

京都において江戸時代から続く染屋「染司よしおか」の五代目当主、吉岡幸雄氏。今回は、イギリス・ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館への収蔵を記念し、「海を渡る日本の色」をテーマに展観いたします。

日本橋高島屋催事情報ページ

展示会場では、映像に合わせてご本人による作品解説がありました。
十二単の再現にも取り組んでいるのですよー。

原料となる植物の展示も!映像上映もありました

※会場の撮影、ブログ掲載許可済み。
今回の展示で一番嬉しかったのは、吉岡さんご本人にお会いできた事です。それ以外にも、「これは!!」と嬉しかったのは染料となる植物の展示。
赤色の染料の1つに「蘇芳(すおう)」が使われているとか、
紫は「紫根」とかは知っていたのですが、実際に見るのは初めてでした。
これは感動でした。
「紫根って本当に紫だー」と改めて(そのまんまの)感想を抱きました。下の写真は紫根です。
紫根
こっちは蘇芳です。蘇芳は奈良時代から日本にあったそうです。
蘇芳
欲を言えば、植物染に馴染みのない人の為に、染料名が記載してあったら更に分かり易いかなと感じました。吉岡さんがいらっしゃらない時間帯もありましたしね。
吉岡さんの解説によると、薄い藍色を染めるのはとても難しいそうです。
濃いものより薄い方が難しいそうですよ。
藍色と言えば、オリンピックロゴが過ったわけですが、古来の方法で染められる藍色が注目されるかもしれませんね。

染料不足による難しさ

伝統色は植物から染色されます。そのため、原料になる植物が無いと染色できません。
今はその植物が減っているため、染料を入手するのも困難のようです。

以前、紅ミュージアムに足を運んだ時、「紅花から取れる紅色はわずか1割」という話を聞きました。

紅花
なので、紅色というのはとっっっても貴重なんです。
でも今回の映像展示で、紅花から十二単を再現しているシーンがありました。
紅ミュージアムで勉強していたお陰で、これがどれだけ大変な事か分かりました。
どうやって紅を入手しているのか質問したところ、中国から仕入れているそうです。なるほど、日本での調達が困難になっているものは海外産を使用しているのですね。これはもう時代的に仕方の無い事ですね。
十二単と言えば、襲色目(かさねいろめ)のサンプル展示もありました。
こちら、十二単に興味を持った人なら、どんな衣装だったんだろう?と気になるはず。色見本みたいに、視覚的に分かると勉強になりますね。
襲の色目
特装本もありましたが、ちょっと手は出ませんでした・・・
襲の色目

最後に

日本の伝統色について知りたい、勉強したい人は吉岡さんの書籍は大変勉強になります。
デザイナーがすぐに活かせるのは、「日本の色辞典」。写真付きで、色の解説が掲載されています。染色職人の方がこんな素晴らしい本を出してくれるなんて!
こうして書籍にすることで、日本の伝統を残していくことに繋がるのですよね。

また吉岡さんが設立した紫紅社さんは、日本の伝統・文化関連の書籍を多数扱っています。

色の歴史をまとめた記事です。アクセス数的には紫が一番人気なようで。
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