赤や黒は和風デザインによく取り入れられる色ですが、白との組み合わせがとても多く見られます。
白は結婚式など祝儀のイメージが強いですが、喪に服す「白」もあります。
今回は、生と死をに関わる白についてまとめてみました。
生と死を象徴する白とは
生に関わる白色
白は神と繋ぐ神聖な色です。現在でも神社で巫女さんの紅白の装束を目にすることが出来ますね。白は悪霊や穢れを払う色とされています。
また、結婚式では白無垢、洋風の式でもウェディングドレスは純白とされています。結婚式で白は新婦だけの色なので、他の人が白いドレスを着用するのはマナー違反です。
出産については、公家や上流階級の間では出産に備える女性は白い装束を着用していました。
この白い装束は出産する本人だけではなく、お付きの女官たちも白を身に付けていたそうです。衣服だけではなく、身の回りの調度品も白く、また屏風には白い胡粉で吉祥の絵が描かれたそうです。
生まれてくる子供と妊婦さんを守る為に、白で統一されていたのです。
赤ちゃんに白い産着を着せる習慣は今でもありますね。
死に関わる白色
死と言えば、「黒」のイメージがあるかもしれません。しかし、黒い喪服が定着したのは明治以降の事です。灰色に近い濁りのある「鈍色」は昔から身分の低い者の色、喪に服す色として扱われていました。黒では無いんです。日本人は黒に美を見出す傾向があり、特に武士は漆黒を愛し、甲冑などに取り入れました。
この辺の事は黒を紹介した記事にまとめているので良ければ。
さて、白に戻りますと、死者に白い装束を着せるのは現代でも残っている文化です。また、武士が切腹する時の装束も白。
狩野探幽が描いた「東照社縁起」に生と死を象徴する白が描かれています。
まず、生についてですが、1巻に白い屏風に囲まれた徳川家康公の誕生場面が描かれています。
そして3巻には家康公の葬儀について描かれています。白装束の者が、家康公の棺を担いでいます。今では故人だけが白い装束を身に付けますが、昔は、送り出す立場の近親者も白装束でした。東照社縁起を見ると、お葬式の場面でも僧侶は黒い装束を着ている事が分かります。
また、お葬式の時にお供えする花と言えば、菊。沢山の白い菊を供えて故人を丁寧に送り出します。お葬式に菊の花を供えるのは諸説あるそうです。
白い花、格式の高い花だからという説がありますが、個人的にはこれらの説に加え、菊の「不老長寿」の意味も含まれているのかなぁと感じています。
菊は漢方としても使用されており、不老長寿の願いが込められている花です。
日本では、「あの世」「この世」という言い方をするように、別の世界に向かうという考えがあります。ですので、「あの世でも元気に暮らせるように」と菊を備えているのかなと感じました。※個人の推測です。単に送り出す「白」い花だからなのかもしれませんが。
このように生と死、両方に密接に関わっているのが白なのです。
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参考文献
今回の参考文献は以前ブックレビューでも紹介した城一夫先生の書籍「日本の色のルーツを探して」です。
白についてもっと詳しく紹介されていますし、白以外の伝統色の紹介も沢山あります。おススメの一冊!
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